明日、6年ばかり住んだ街から引っ越します。
来た時は線路をはさんで、古い街と、新しいビル群とがくっきりと分かれていた街でした。
最初の3年、初めての一人暮らしで古い街のほうのアパートに住んで、
あとの3年、今度は愛する人と二人でビル群側のマンションに住んでいました。
そうこうするうちに、
銀ぴかの、空を切り裂くフォルムをしたビルが古い街にも建って
古い大きな工場を囲んでいた街全体に当初の影はなくなっていきました。
前に住んでいた場所は古い工場を抜けると登り坂で、
坂の上に飴屋さんや魚屋さん、海苔屋さん、よろずやさん、金物屋さん
てんてんと建っていて、大家のおばあちゃんが、カートをひいて
よく近所を買い物していたな。
坂にはびっしり、歯医者さんが三軒もあって。
そのなかの最寄りの歯医者さんを選んでいったら、
とっても不思議な先生だったな(これは過去形じゃないけど、また通うけど!)
あとの3年住んでいたところから、駅までくると、
その銀ぴかのビルの向こうに、一人暮らしで初めて来た6年前の自分の暮らしと
周りの人々が生活しているところが、見える気がして、
今日はしばらく眺めてしまいました。
別の話で、
私の祖父がこのあいだ亡くなったのですが、
わたしが病院に着く前に意識不明におちいり、
呼吸が停止するまで皆でそばにいて、声をかけていたのですけども、
あれは聞こえていたなあ。と思っています。
彼にとっては、こちらと向こう、まだ向こうは存在しなかったのではないかと思っていて。
葬儀を全部終え、ボディがなくなってしまって、ようやく???
って、まだ49日前ですから、いまごろ、向こう側を見つけているのかなあ。
これから
遺言というか、生前にきっぱりと祖父が言っていた何々家と書かないお墓を作り、
私は、お墓に刻む文字を、書くことになりました。
向こう側の世界、楽しんできてねと。